設立趣旨書
-子どもたちには、サードプレイスを 大人たちには、子どもたちと出会える場を
◆横浜市鶴見区の子どもの状況
虐待、不登校、経済的困窮、日本語の不自由さ… 横浜市鶴見区に山積する子どもの課題と、支援現場の限界が数字から見えてきます。鶴見区内在住で、何らかのサポートが必要とされる子どもの数は、統計的に約 3,200 人*1と推計され、不登校児童生徒、生活保護世帯の子どもの数、外国人児童生徒など、横浜市18区の中でほとんどの数字で上位にあります。複合的な課題を抱える家庭も多く、子どもたちは何らかの課題を抱えながら日々の生活を送っています。
◆豊富なようで足りていない、子どもへの支援
行政の委託事業として、また学校・国際交流ラウンジ・NPO ほかボランティア団体により様々な支援が行われています。しかし、予算・利用条件・定員・そもそも活動が知られていないことにより、サポートが必要な子どもたちに手が届いていないエリアもあり、充足しているとは言い難い状況です。
◆さまざまな形で子どもに関わる活動実践者をネットワーク化する
子どもに関する課題が多くありながら、ネットワークの不在・地域資源が把握されていません。区内の子どもの支援について、対応エリア・人数・実施場所・数が整理されたデータがなく、行政も事業者のリスト化はしているものの、実施内容までは把握しきれていないため、子どもにまつわる課題に対し、支援を担える機関・担えない機関の見極めができていない状況です。
◆何らかのサポートが必要な課題を抱える子どもの数を減らす
リスク軽減・予防支援ができていないことにより、「もっと早く出会っていれば、児童相談所に保護されるまではいかなかった」「もっと早く気づいていれば、こんなに問題が大きくならなかった」と思う子どもたちがたくさんいます。行政のケースワーカーも、現状は対症的な取り組みとなってしまい、よりリスクの高い子どもから支援を優先せざるを得ないというのが現状です。
横浜市鶴見区は 2035 年に向けて人口が増え続けると予測され、今後もサポートが必要な子どもたちは新たに増え続け、より多様化する社会構成の中、支援ニーズは間違いなく増加すると考えられます。支援が必要な子どもたちの総量を減らしていくため、民間セクターから行政と連携し、早めのアプローチを行う予防的支援が求められます。
◆子どもたちが笑顔で毎日をすごせるよう、サードプレイスづくりの提案および推進していく
「サードプレイス」とは…
・家庭(第 1 の居場所)や学校(第 2 の居場所)から離れた居心地の良い場。
・学習支援やこども食堂など、課題を克服するための取り組みが用意されている場。
・子どもたちが信頼することのできる大人たちに囲まれ、地域の人々が子どもに寄り添うことのできる場。
・課題、リスクへの気付きを促し、リスクの高い子どもへの適切な支援を可能にする場。
―サードプレイス的取り組みは、貧困・虐待などの課題に向けた高リスクのアプローチばかりでなく、すべての子どもに対応できるアプローチとなります。よりリスクの低い段階での対応により、予防的な機能を持たせることができるため、子どもたちの近くにサードプレイスがあることが望ましく、子どもたちが自分でアクセスできる生活圏に、少なくとも1か所、サードプレイスを作ることを提案していきます。
子どもたちの居場所を作る取り組みは、地域や住民、行政、企業などあらゆるセクターの協力が不可欠で、より公共性の高い活動となるため、特定非営利活動法人を設立し、その取り組みを実践していきます。
平成28年12月3日
法人の名称 特定非営利活動法人サードプレイス
設立代表者 須 田 洋 平
※1 横浜市鶴見区内18歳以下の子どもの数に子どもの貧困、虐待対応・相談数、外国人登録者数などの割合をかけてNPO法人サードプレイスが出した数字です。